君と逢える約束の場所 Chapter2
翌日 学校の校長室の前
たける「吉野来ました…」
校長 「オゥ!来たか、入れ。よく来た…」
たける「先生、元気そうでよかった…」
校長 「何言ってんだ。元気なんかないよ…。ブツブツ ないに決まってる…」
校長 「リリはどうした…」
たける「下につないできました…」
校長 「そうか。入れてもよかったのに。だれもいないからな…今は。」
校長 「ところで、父上は今日来ること知ってる?」
たける「ハイ。後で会います…。先生が苦しんでることも言いました。」
校長 「そうか。余計なことも言ったんだな。まぁいいけど…。」
校長 「世界は大変なことになってる…」
たける「父も同じことを…」
校長 「やっぱりそうか…分離は世界を飲み込んでるようだ…」
たける「ハイ…」
校長 「子どもたちは互いに反発し合い、この分離の価値観の中で愛し合うことすらできない。
すべてがライバル…いや、敵だ…。どうしたものか…幸せになどしてやれない…」
たける「……」
校長 「家に帰ればその中で、その世界が…それを信じたその社会が待っている…
苦しいのは当然だ…子どもたちに罪はない…」
たける「だとすると大人たちにも…同じことですか…」
校長 「そうだろう…。今こそ真実が必要だ…。
いや、ずっと父上が言っていたように、科学的真実が…万物の一体性…。」
帰りすがら…僕は思った。 まだひとつであった頃…。父さんが行ったという世界を、どうしても見てみたいと…。
研究所に向かいすがら、たけるは思いつめたようにつぶやいていた…。
行・っ・て・み・た・い…
見・て・み・た・い…
本当のこの世界を…
研究所の前に着いた僕は、なぜかそこで、立ち尽くしていた…
これから起こることが、なにか大変なことのように、感じてならなかったからだ…。
僕は、たじろいでいた…。
これから始まる、何かに…。